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2023/05/28ブログ

AIと弁護士

 「AI 弁護士」とGoogle検索に入力すると、次に検索候補として出てくる単語は、「なくなる」です(5月28日現在。)。
 若手の弁護士としては、さてどうしたものか困ったなとなるわけですが、少し考えてみても、AIの側が超えなければならない壁はあるように思えます。

 ここで、例えば、民事上の法的紛争が生じたときに、紛争の一方当事者の話を聞き、それに基づいて法的判断を下すというAIを想定しましょう。そのようなAIに、どんな機能が必要でしょうか。
 まず、①紛争当事者の話をもとに、紛争当事者が争っている権利義務、法律関係を特定するとともに、その権利義務、法律関係の発生変動を基礎づける条件は何か特定する②特定された条件について、事実関係の立証方法を整理するという機能は最低限必要です。

 上記の機能を考えたときに、まず、①の点で、法的概念や理論をAIにどのように学習させるのかが問題となります。最近では、司法試験の問題をAIに解答させるという実験が行われていますが、まだ、短答式試験(候補の中から、回答を選択するもの。)の合格に至っていないようです※。②の点では、事案によって異なる事実関係がある中で、証拠の評価を適切に行うことができるのか(あらゆる事案に対応できる経験則というものが想定できるのか、想定できるとして学習させられるのか。)も問題でしょう。

 当のAIに、「AIが弁護士に取って代わることはあるか。」と尋ねたところ、chatGPT-3.5曰く、「・・・AI技術は法律業界においても進化していますが、弁護士の役割はAIとの組み合わせによって強化される可能性が高いと考えられます。AIがルーチンな業務を代行することで、弁護士はより高度な専門知識を集中的に活用し、クライアントの問題解決に専念することができます。そのため、AIと弁護士の協調的な関係が将来的に重要となると予想されます。」とのことです(引用元:https://chat.openai.com/)。

 社交辞令まで学習しているとなるともはや手も足も出ませんが、まだしばらくの間、私たちは存在することができるようです。

(川辻 哲也)
 ※ちなみに、アメリカの司法試験では、既に受験者の上位10%程度の成績を残すことができるようになっているという情報もあります。

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